抜歯が必要な時って?抜歯が必要な7つのケースを解説
2024年7月30日
抜歯はできるだけ避けたいものの…
抜歯は文字通り「歯を引き抜く」治療です。
乳歯から生え変わった永久歯は、一度抜歯すると新しく生えてくることはありません。
さらに抜歯は非常に強い痛みを伴うため、麻酔が必要です。
このような理由から誰も好んで抜歯をしたいとは思わないでしょう。
しかし、時として抜歯が必要な時もあります。
どうしても抜歯しないといけない時とはどんな時なのか、一つずつご紹介していきます。
1.進行した虫歯で歯質が残っていない
虫歯の治療は初期の段階であれば、フッ素塗布を行い、唾液中の石灰分による再石灰化の働きで進行を止めることが可能です。
しかし、ある程度虫歯が進行すると、虫歯の再発を防ぐために虫歯の患部(軟化象牙質)を取り除く必要が出てきます。
そして、そういった虫歯の治療を何度か繰り返すと、歯茎から出ている歯の部分がわずかになってしまうのです。
エクストルージョン法という、歯肉の下にある歯の根を少し引き出す治療をする場合もありますが、それには限度があります。
歯質が少ししか残っていないないと、いわゆる差し歯であるクラウンを被せることもできず(正確には差し歯を支えるコアを立てられなくなります)、最終的には抜歯が必要になってしまいます。
2.歯周病が進んで歯がぐらついている
歯周病は歯肉と歯の土台となる骨(歯槽骨)を蝕みます。
歯周病の症状が進行してしまうと、土台を失った歯はぐらつくようになってしまうのです。
早めに歯周病の治療を行えばこの動揺は止められます。
とはいえ、歯周病がさらに進行すると、歯が脱落してしまったり、無理に残してしまうと噛み合わせや咀嚼障害が出て周りの歯に悪影響を与えてしまったりする恐れが出てきます。
これらのリスクを防ぐために、歯周病がある程度まで進行してしまうと、どうしても抜歯をする必要が出てくるのです。
3.歯の根が破折している
歯がひび割れたり、割れてしまったり、折れたりしてしまうことを「破折」(はせつ)といいます。
虫歯が進行して抜髄(神経を取ること)の治療を行った後は、歯の根に薬剤を詰めてしっかりと塞ぎますが、それでも治療した根の部分が再び炎症を起こす場合があります。
歯が弱ってしまうと、歯の根の治療を行ったとしても、歯の根が破折してしまう場合があるのです。
また、被せ物を装着するための土台に金属製のコアを使用すると、破折の原因となるケースもあります。
わずかな破折であれば治療が可能ですが、多くは抜歯を避けることができなくなります。
これは事故などで歯の根に破折ができた時も同様です。
4.便宜抜歯
便宜抜歯とは矯正治療の過程で歯を抜くことです。
虫歯でも歯周病でもないのに歯を抜くのに抵抗感を持つ人は多いのですが、矯正で歯をきれいに並べ直そうとしても並べ直すスペースがなければできません。
歯を少し削って抜歯を避けられる場合もありますが、無理をして抜歯を避けると矯正をしてもきれいな歯並びにならない可能性が出てきてしまいます。
5.親知らず
成人の歯28本に数えられない親知らずは、ほとんどの人の場合、横向きに生えたり、埋没したりしており、歯としてきちんと機能していません。
また、親知らずは奥にあり、歯磨きが難しく、周辺の歯を巻き込んで虫歯を起こしたり、炎症を起こしたりしがちです。
また、治療をするにも手間がかかります。
このため、無理をして残すのではなく、虫歯や炎症を起こした場合は抜歯を勧めることが多いです。
6.転位歯、過剰歯
転位歯とは、歯の位置が正常より舌側や頬側にずれているものを指します。
また、過剰歯とは、親知らず以外で28本の通常の歯以外に余分に生えている歯のことです。
どちらも噛み合わせや咀嚼に悪影響を与えるため、抜歯が必要となるケースが多いです。
7.戦略的抜歯
戦略的抜歯とは、主として将来のインプラントのために、状態の良くない歯を抜歯することを指します。
状態が悪い歯があると、土台となる歯槽骨を失わせてしまうので、インプラント治療が難しくなるのを防ぐために行います。
口腔内全体の治療のために、あえて抜歯を行う行為を「戦略的抜歯」と呼ぶ場合があるのです。
歯周病が進行し歯の動揺が大きいと抜歯しなければいけない場合もあります
抜歯はから名ずしも「悪いこと」ではありません
天然歯をできるだけ残す努力は必要です。
しかし、どんな時でも抜歯が悪いというわけではなく、時として抜歯がむしろより良い選択になるケースもあるのです。
抜歯を行う時は、抜歯の理由を聞くだけでなく、将来の口腔内の状態についてや、抜歯をした後に咀嚼力をどう補えば良いかといった内容を、歯科医とよく話し合いましょう。
虫歯や歯周病で歯がボロボロになってしまった方へ
口腔ガンの予防・診断方法を解説!症状・治療方法
2024年6月20日
口腔ガンは口の中にできるガンを指し、日本ではガン全体の1〜2%を占めると言われています。
口腔ガンはさらに部位により、「舌ガン」「上顎ガン」「下顎ガン」「口腔底ガン」「頬粘膜ガン」「硬口蓋ガン」に分けられ、それらの中では一番多く発生しているのが舌ガンです。
今回はそんな口腔ガンの主な原因から初期症状、早期発見の方法、治療についてお伝えします。
口腔ガンの主な原因と症状
口腔ガンの原因でまず挙げられるのは喫煙です。
その他、飲酒、虫歯の放置、合わない入れ歯の使用、口腔内が不衛生などもリスクファクター(危険因子)になりえます。
喫煙や飲酒の頻度の見直しや歯磨きの徹底で防げる可能性もあります。
そして、口腔ガンで最初に出てくる症状は主に下記です。
・しこりがある
・出血しやすい部位がある
・口腔内や唇にしびれがある
・頸部リンパ節が3週以上にわたって腫れている
いずれも、多くの場合で目視での確認が可能です。
しかし、強い痛みを伴うことは少ないので、初期のうちは気が付かないケースが少なくありません。
また、口内炎と区別がつきにくく、口腔ガンを見慣れていない一般歯科医の場合、判断がつきにくいです。
ただし、口内炎は一般的には1週間程度で治まるのに対し、口腔ガンは時間が経っても治らないという違いがあります。
2〜3週間程度ずっと口内炎のような症状が続いているなら、口腔ガンの可能性があるので、速やかに歯科医院へ相談してください。
口腔ガンの治療について
一般の歯科医では見分けがつきにくい口腔ガンも、ガン治療の経験がある口腔外科医なら目視だけで可能性を疑うことが可能です。
その場合でも、口腔ガンかどうかの最終的な診断は、大学病院などで病理検査を経て診断を行う必要があります。
そして、さらにガンの広がりがないかを調べるために、CT、MRI、超音波などを使用した画像検査も行われます。
口腔ガンの治療は、症状や部位によって手術、放射線、化学療法を単独あるいは組み合わせて行うのが一般的です。
口腔ガンは摂食機能、顔貌(見た目)といった生活の質(QOL)に大きな影響を与えるので、治療にあたってはQOLの維持を考慮することが必要になります。
口腔ガンは定期的に歯科検診で早期に発見できます
口腔ガンは最近増加しているガンの一つです。
しかし、先述のように、目視を含めて初期段階での発見が比較的容易なガンでもあります。
口腔外科医でなければ判別しにくいですが、数カ月に1度歯石除去などで歯科医院を訪れると、歯科医、歯科衛生士が変化に気づける可能性が高まります。
定期的に歯科医院で口腔内を見ることが、口腔ガンの早期発見につながると言っても過言ではありません。
銀座で歯科検診するなら銀座並木通り歯科
差し歯の種類・材質による特徴やメリットとデメリット
2024年5月25日
差し歯は見た目にも噛むためにも大切
差し歯は歯の上に被せて歯の形を整えて、咀嚼力つまり正しく噛む力を取り戻せるようにするものです。
差し歯は土台の歯に被せることを前提とする技工物です。「差し歯」という言葉から、抜歯したところに入れる人工歯と思う人もいるのですが、抜歯をすると歯の根もなくなってしまうので、差し歯は使えません。
差し歯は「被せ物」という呼び方もしますが、こちらの方が誤解されにくいかもしれません。また、英語の「クラウン」という言い方もあります。クラウンは日本語では冠です。土台の上に被せるものという意味では、こちらもわかりやすい呼び方かもしれませんね。
差し歯には材質や作り方でいくつか種類があるので、それぞれの特徴やメリット・デメリットを簡単にご紹介していきます。
素材ごとの差し歯の特徴とメリット・デメリット
差し歯は主に次のような種類があり、種類ごとに「○○冠」といった名称で呼ばれます。
①硬質レジン前装冠
②硬質レジン冠
③メタル冠
④メタルセラミック冠
⑤オールセラミック冠
⑥ジルコニア冠
ずいぶんたくさんありますよね。それぞれの材質でメリット・デメリットがあるので、順番に解説します。
差し歯の色々(右の白いものはセラミックです)
■レジン冠(①硬質レジン前装冠・②硬質レジン冠)
①:「②」で使われる「レジン」とは一種のプラスチックです。
色が白く健康保険が適用されるというメリットがありますが、強度はあまり高くありません。
そこで金属にレジンを貼り付けて強度を補強したものが「①」の「硬質レジン前装冠」です。
「②」の「硬質レジン冠」はレジンだけなので、長い間使うことはおすすめできません。
■③メタル冠
レジンに対して、「③」の「メタル冠」は強度があるのですが、メタルつまり金属なので、見た目がいかにも差し歯とわかってしまうデメリットがあります。また、土台となる歯との密着性があまり高くなく二次虫歯(虫歯の再発)が起きやすい、健康保険の適用ができないというのも欠点です。
しかし、金冠はいわゆる銀歯(実際には金やパラジウムのような貴金属を3割ほど含んでいます)よりは二次虫歯や金属アレルギーのリスクは低いです。奥歯のように見えにくい場所にある歯に使うのであれば見た目の影響はほぼ気にならなくなりますし、強い噛み合わせで強度が要求されるような場所であれば良い素材と言えます。
■セラミック冠(④メタルセラミック冠・⑤オールセラミック冠)
「④」の「メタルセラミック冠」はメタボンとも呼ばれることの方が多い種類です。金属にセラミックを貼り付けたもので、強度が高くセラミック素材はビジュアルの面でも優れています。
とは言え、内部の金属が後ろから見える点は避けられず、金属の上にセラミックを貼り付けても天然歯のような透明感には欠けるため、最近は「⑤」の「オールセラミック冠」を使うことが多くなりました。
■⑥ジルコニア冠
「⑥」の「ジルコニア冠」はダイヤモンドに次ぐ強度を持つ素材の「ジルコニア」を用いたものです。ジルコニアは人造ダイヤにも使われる素材なので、見た目が非常に美しいと言われることもあるのですが、実際は⑤のオールセラミックの方が透明感のある美しい差し歯を作れます。
そのため、ジルコニア冠は強度が要求されるような場合に使われる差し歯と思って良いでしょう。
インプラントの材質について
最初に抜歯すると差し歯は使えないと書きましたが、抜歯して歯の根元がなくなってしまった場合も、歯の根の代わりにチタンネジを土台としてそこに差し歯を装着するといった方法も可能です。これがいわゆる「インプラント」と呼ばれる治療です。
インプラント治療も差し歯に相当する部分は色々な材質を選ぶことはできますが、インプラント自体にかなり費用がかかってしまうので、実際はオールセラミックを選択するのが一般的となっています。
基本的に抜歯をすると差し歯は使えません
差し歯の種類の選び方は当院ご相談ください
このように、一言で差し歯と言ってもいろいろな種類があり、見た目や強度、土台の歯との密着度、費用などで素材が変わります。実際にどの素材の差し歯を使うのが良いかは、症状によっても変わりますので、ぜひお気軽に当院にご相談ください。
歯のお悩み別解決方法はこちらもチェック
矯正治療に伴うリスクとは?
2024年4月16日
歯並びの乱れを整える矯正治療は、かみ合わせを正常化することで歯ブラシによる清掃性を向上させて虫歯を予防する、見た目が美しくなるなど、たくさんのメリットが得られます。
治療期間が長いというデメリットはあるものの、口元に関する悩みや長年のコンプレックスを解消できる素晴らしい歯科治療です。
ただし、矯正も医療である以上、下記のようないくつかのリスクを伴います。
【矯正治療で起こりうる主なリスク】
・強すぎる矯正力で「歯根吸収」が起こることがある
・ワイヤーの材質によっては「金属アレルギー」になることがある
・治療中は「清掃性が低下」し、歯磨きがしづらくなる
・治療中に病気やメンテナンス不足によっては「治療が遅れる可能性」がある
・見た目重視の治療により「咀嚼力が低下してしまう」ことがある
それぞれの内容と原因をご紹介していきます。
予防方法もあるのでご安心ください
矯正治療によるリスクの内容とその原因
歯根吸収
矯正治療に伴うリスクとしては、まず「歯根吸収」が挙げられます。
歯の根っこである歯根が溶ける現象で、原因としては過剰な矯正力が挙げられます。強い力が歯周組織に負担をかけてしまい、歯肉が下がってしまうケースもあるのです。
金属アレルギー
矯正装置に金属材料を使っているケースでは、治療期間中に金属アレルギーを発症するリスクがあります。ブラケットや矯正用ワイヤーの金属は比較的アレルゲンとなりにくい材質ではありますが、それでもリスクはゼロではありません。
清掃性の低下
全ての歯の表側にブラケットを装着するマルチブラケットによる歯列矯正では、装置の構造上、どうしても清掃性が著しく低下します。
歯磨きがしやすくなるように治療をしているのに、治療中はむしろ歯磨きがしにくくなるという矛盾を抱えてしまうのが矯正治療です。
着脱式の装置を使うマウスピース型矯正であれば、歯磨きのときに装置を外すことができるので清掃性に変わりはありません。この点ではワイヤー矯正よりもマウスピース型矯正のほうが大きな優位があると言えます。
予定より治療完了が遅れる可能性
ワイヤー装置を付ける場合、矯正期間中に虫歯や歯周病になると、まずはそれらの治療を優先する必要があります。
一度装置を外して、虫歯治療や歯周病治療に専念するため、矯正の治療計画に大幅な乱れが生じます。その他、メンテナンスを怠ったり、装置の装着時間を守らなかったりすると、予定通りに歯が動かなくなることもあるので注意しましょう。
定期的に通院してきちんと歯が磨けているかチェックするのも重要です
治療方法次第で咀嚼力が低下
しかし、一番重要視しなければいけないのは、矯正の結果咀嚼力が低下するリスクです。これは見た目を重視し、噛み合わせより歯並びばかりに焦点を当てすぎた治療をした場合に起きうることです。
矯正治療は審美的な要素が重視される傾向にありますが、その結果歯の健康を害してしまっては本末転倒です。
歯並びを整えてしっかり食物を咀嚼したり、食物が歯に挟まりにくくなったりすることで、虫歯や歯周病のリスクを低減させるという最大の目的を決して忘れてはいけません。
矯正治療のリスクは治療方法や予防で抑えることが可能
矯正にはご紹介したようなリスクが伴いますが、いずれも治療方法の選択や適切な予防でリスク発生を抑えられます。
矯正治療の持つリスクを避けつつ、審美的にも口腔内の健康的に満足することができるように治療をするのが、矯正医の治療技術と言えます。
矯正治療に対する不安や疑問は何でも当院にご相談ください
歯医者が考える「良い歯医者」の条件とは
歯科スケーリングの不安を解消しよう!
2023年11月14日
歯科定期検診やメンテナンス、歯周病治療において、スケーリングは欠かせない処置です。この記事では、スケーリングについての不安を取り除き、正確な情報を提供します。
歯周病にかかっている人のスケーリングでは、歯茎からの出血や痛みがあることがあります。これは歯周病によって歯茎が腫れ、刺激に敏感になるためです。しかし、歯茎を傷つける心配はありません。歯の表面に細かい傷や亀裂がある場合、スケーリングが少ししみることがありますが、これは一時的なものです。知覚過敏を感じたら、歯科医師や歯科衛生士に伝えてください。対処方法を提供します。
Before: 歯石が多量に付着している
歯石が除去され歯の表面もきれいに汚れが取れている
スケーリング後、歯茎が引いたように見えたり、歯と歯の間が広がったように感じることがあります。これは歯石の取り除きにより、歯茎の炎症が改善されるためです。歯茎が元の状態に戻り、歯茎の腫れが減少することがあります。これは正常な反応であり、心配する必要はありません。
スケーリングは簡単な処置ではないかもしれませんが、歯の健康にとって重要なものです。不安を感じる場合、歯科衛生士や歯科医師に相談しましょう。処置の詳細を説明してもらうことで不安が解消します。
歯科スケーリングは歯石を取り除き、歯周病を管理するための重要なステップです。正確な情報とプロのアドバイスを受けて、不安を取り除きましょう。歯の健康を守るために、定期的な検診とメンテナンスが必要です。
アイコンによるホワイトスポットの修復
2023年8月19日
Before
After
歯の表面に見える白い斑点は「ホワイトスポット」と呼ばれ、多くは初期の虫歯を示しており、歯のエナメル質が酸性化しカルシウム成分が減ることで、歯の表面に白濁したホワイトスポットを形成することで生じます。
ホワイトスポットは、ホワイトニングではなくならず、かえって目立つことさえあります。この問題を解決するためには、歯を削ったり、カルシウム補給用の歯磨き粉を使ったるするような方法か、ラミネートべニアというセラミックの薄片で隠す以外ありませんでした。
しかし、アイコンという方法では、特別な薬剤を使って脱灰したエナメル質を補強します。これにより、歯を削ることなくホワイトスポットを改善し、再発を防ぐことができます。この症例では白濁したホワイトスポットが透明感を取り戻し、周りの歯の表面と区別がつかなくなっています。
費用:1歯 33,000円(同時2歯目からは1歯16,500円)
リスク:・ 露出した象牙質又はセメント質がある場合、痛みを生じる可能性があります。
・歯の先端部に帆愛とスポットがあると形状の変化が起きることがあります。
こちらもご参照:
中野の歯医者_マナミ歯科クリニック
矯正はどうやって歯を動かすのか【ワイヤ矯正・マウスピース矯正の方法】
2023年8月10日
矯正治療は歯並びの悪さを治すための治療
歯並びが悪いと見た目が良くないだけでなく、歯にプラークが付着しやすく、虫歯や歯周病になりやすくなります。
歯科治療費が日本と比べ高い欧米で矯正治療が日本より普及しているのは、美的な理由だけではありません。
将来歯科治療が必要になるリスクをできるだけ避けようとしているという大きな理由があるのです。
とはいえ、歯の矯正の需要さがわかっても、「なんだか怖い」と漠然とした不安で矯正治療をためらっている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、歯の矯正は具体的にどういった方法で行うのか、歯を移動させる原理などを簡単にご紹介していきます。
歯の移動のさせ方はワイヤ矯正・マウスピース矯正とも同じ
矯正治療には、歯にワイヤを(ブラケット)を装着する「ワイヤ(ブラケット)矯正」と、マウスピースを装着する「マウスピース矯正」の2種類の方法があります。
ワイヤは毎月の調整で少しずつワイヤの形を変えて歯を移動させるのに対し、マウスピース矯正はマウスピースを2週間程度ごとに交換して、目標とする歯並びに近づけていきます。
ワイヤ矯正もマウスピース矯正も歯に圧迫を加えることで少しずつ歯を移動させるのです。
ではどうしてこれらの方法で歯が移動するのでしょうか。
歯は歯茎の中で歯根膜と呼ばれる膜に覆われたうえで、骨(歯槽骨)に固定されています。
その歯が一定方向の力で押されると、押されている方の歯槽骨が吸収され、反対側の歯槽骨では逆に骨の造成が行われます。
つまり、矯正治療は歯の圧迫による骨の吸収と造成により、歯が移動することを利用しているのです。
矯正に年齢制限はありません
骨の吸収と造成は、新陳代謝が行われている限り年齢に関係なく起こります。
矯正治療には年齢制限があるとお考えの方もいますが、新陳代謝は年を取っても活発さが衰えることはあっても、なくなることはありません。
実際、50~60歳で矯正治療を始める例も少なくないのです。
年齢が理由で「今さら矯正を始めても…」と迷っているという方は、ご安心ください。
矯正治療後は逆戻りさせないようにリテイナーの装着が必須
ところが、せっかく矯正治療をしても、後戻りが起きることがあります。
その理由は歯と歯槽骨の間にある歯根膜が骨ではなく腱のような組織だからです。
歯が骨の吸収・造成で移動すると、移動する方向の横歯根膜は移動する方向に引っ張られる形になります。
そのため、移動した歯には戻ろうとする力が加わるのです。
こういった歯の逆戻りの移動を防ぐためには、リテイナーと呼ばれる下の画像のような装置を矯正終了後のしばらくの期間で装着する必要があります。
これがリテイナーです
リテイナーにはマウスピースタイプのものもあります
ワイヤ矯正、マウスピース矯正どちらも歯を動かす基本は同じで、後戻り対策にリテイナー装着を行う必要があることにも変わりません。
【ワイヤ矯正、マウスピース矯正の違いについては他の記事を参考にしてみてください】
長い年月のかかる矯正治療も短期間で可能な時代
マウスピース矯正はなぜブームになったのか
ワイヤー矯正とマウスピース矯正とは?これから矯正をする方へ
矯正治療は、抜歯?非抜歯?
八重歯を放置しているとデメリットが多い?しっかり治すのがおすすめ
「良い抜歯」と「悪い抜歯」とは?
どうしても抜歯しないようにするにはどうすればいい?
姿勢と歯の関係は?
銀座の矯正歯科は銀座並木通り歯科
ボツリヌス菌製剤は、歯ぎしりに効果があるのか?
2023年7月29日
歯ぎしりは無意識に強い力を歯や歯茎にかけてしまいます
歯ぎしりには、ボツリヌス菌製剤、正確にはボツリヌストキシン製剤が有効です。
一般にはアロガン社の商品名であるボトックスの方が知られているでしょう。
(セロハンテープでもっとも有名な商品名「セロテープ」のようなものですね。)
この記事では、なぜボツリヌス菌製剤が歯ぎしりに効果があるのかを、ボツリヌス菌との歴史と併せて解説していきます。
歯ぎしりに悩んでいる方はぜひご一読ください。
ボツリヌス菌製剤の歴史
「そもそもボツリヌス菌って何?」という疑問をお持ちの方も多いと思います。
まずはボツリヌス菌の特性や、その特性を逆手にとった例を軽くご紹介していきましょう。
ボツリヌス菌は本来強い毒性を持つ菌
ボツリヌス菌は極めて強い毒性を持っていて、食中毒の原因菌として知られてきました。
ボツリヌストキシンはこのボツリヌス菌が生成する毒性成分の名前です。
また、この強い毒性は生物化学兵器の材料とされることもあります。
その危険なボツリヌストキシンが医療用として使われるようになったのは、毒性のメカニズムそのものが利用できるということがわかってきたからです。
ボツリヌストキシンは神経の伝達物質を阻害します。
つまり、ボツリヌストキシンは神経が働くなることで四肢や呼吸が麻痺することで毒性を発揮するのです。
あえて神経の働きを阻害させることで医療や美容にも有効
このような本来は恐ろしい特性を持つボツリヌストキシンですが、あえて神経の働きを妨害することで、さまざまな医療用途もあります。
当初は、斜視や顔面痙攣の防止、あるいは多汗症の抑制などに使用されました。
そして、次第に神経の働きを妨害すること、つまり筋肉を弛緩させるという作用が、美容分野でも注目されるようになりました。
ボツリヌストキシン製剤は皺とり効果で美容に広く利用されています
たとえば、皺とりです。
皮膚を切り取って引っ張るような外科的方法ではなく、ボツリヌストキシンの筋肉弛緩の作用を利用する内科的な療法効果があることがわかり、注目されてきました。
現在では、ボツリヌストキシン菌製剤の美容目的での使用は、年間数百万例に達していると言われています。
そしてそれだけ多数のボツリヌストキシン菌製剤が使用されているにもかかわらず、大きな事故の報告はありません。
ボツリヌストキシン菌製剤の安全性は、多くの実績に裏付けられていると言ってよいでしょう。
ボツリヌストキシン菌製剤が歯ぎしり・喰いしばりに有効な理由
そのボツリヌストキシン菌製剤を歯ぎしり、喰いしばりのような歯科分野で活用することは比較的最近始まりました。
歯ぎしりや喰いしばりの直接の原因は筋肉の過度の緊張なのですが、ボツリヌストキシン菌製剤の筋肉弛緩作用が有効と考えられるようになったのです。
ボツリヌストキシン製剤は歯ぎしりそのものを止めてくれます。
ボツリヌストキシン製剤の使用開始以前は、歯ぎしり、喰いしばりにほとんど唯一有効な対症療法は、ナイトガード(マウスピース)でした。
しかし、ナイトガードは装着が面倒ですし、睡眠中に唾液が溜まりやすいといった不快な現象も発生します。
さらにTCH(Tooth Contact Habit:上下の歯をくっつけてしまう癖)のように、昼間に歯をこすり合わせるような症状には対応できません。
マウスピースは歯ぎしりの対症療法としては有効なものの…
ボツリヌストキシン製剤の歯科分野での応用の歴史はまだ短いです。
しかし、歯ぎしりや喰いしばりが歯や歯茎に与えるダメージが大きいにもかかわらず、本質的な治療法が長年確立されていなかったことを考えると、今後は広く利用されるようになると予想できます。
銀座並木通り歯科HP
入れ歯だってちゃんと噛める!【認知症につながると不安な方へ】
2023年5月21日
歯を失うとインプラントやブリッジといった欠損した歯を補う治療をします。
入れ歯もその中の一つです。
失った歯の数が多くなるとブリッジは難しくなりますし、天然歯に近い咀嚼力を持つという点ではもっとも優れているインプラントでは、インプラントのチタンネジを埋入する土台となる骨が歯周病などによって歯槽骨が失われ不足している場合は、適用が難しくなります。(ただし、骨の増成により、かなりのケースではインプラントが可能です)。
入れ歯はこういったケースの際に有効な治療にはなりますが、入れ歯に対する抵抗感を持つ人は少なくありません。
この記事で、入れ歯で欠損した歯を補うことへの不安点を解消していきましょう。
入れ歯は皆同じ?いいえ違います
入れ歯への不安や抵抗感にはどんなものがある?
それでは入れ歯で考えられるリスクにはどんなものがあるのでしょうか。
もっとも大きい懸念点は咀嚼力の低下
「装着すると違和感がある」「痛い」「食べ物の味が違って感じられる」「入れ歯が動くのが不快」など、入れ歯への不満と悩みは多く寄せられます。
また、8020運動で「80歳に20本以上の歯を残すことが認知症を防ぐことにもなる」という認識が広まってきたため、入れ歯にすることで認知症につながるのではと考える方さえ多くいるのが現状です。
歯を残すことが認知症の防止につながるというのは、咀嚼力が維持されるかどうかにかかってきます。
確かに、入れ歯にすることで咀嚼力が落ちてしまった場合は、食べるものが制限される、あるいは食べることそのものの楽しみが減ることで、活動的な生活がしにくくなり認知症の進行を早めることになりかねません。
食事は人生の楽しみ。決して軽視してはいけません
入れ歯の固定方法次第では咀嚼力低下につながる恐れがあります
入れ歯で違和感を覚えたり、咀嚼力に不満が出たりする理由はいろいろあります。
もっとも大きい不満と言えば、入れ歯がしっかりと固定されていないばかりに、硬いものを天然歯のように噛み切ることができないという点です。
これは、入れ歯が金具(クラスプ)で歯に留められていて、いわば歯茎の上に乗ったような装着をしてしまっているからです。
入れ歯はクラスプで歯に留められています
また、入れ歯固定剤でなるべく動かないようにすることで、かえって固定剤の厚みで入れ歯の位置が一定しなくなったり、不潔になってしまったりというリスクにもつながります。
これに対し、インプラントはチタンネジを骨に固着した上に人工歯を装着するので、場合によっては天然歯以上に強く咀嚼することができます。
実際、インプラントはあまりに強く固定されるため、インプラントの対合歯(反対側の歯)の天然歯が痛んでしまわないように、噛み合わせを慎重に考慮して装着しなければいけないほどです。
インプラントでは人工歯はチタンネジの上に固定されています
入れ歯の固定の仕方を変えれば咀嚼力もしっかり回復します
しかし、保険適用に限らなければ、入れ歯にもインプラントに迫るようなしっかりとした咀嚼力を回復できる方法があります。
一つは「マグネット・デンチャー」と言われる方法で、留め金(クラスプ)の代わりに歯(支台歯)につけた磁石と磁石同士で入れ歯を固定させます。
マグネットデンチャーなら、固定する力が非常に強く、噛み合わせの位置も安定させることが可能です。
また、支台歯がない場合はインプラントを埋入し、それに磁石を装着するという方法もあります。
インプラントと入れ歯の両方を使うことで、インプラントに迫る咀嚼力を得ることができるのです。
もう一つは「コーヌスデンチャー」と呼ばれるタイプです。
コーヌスデンチャーは歯に内冠を付けて、茶筒の蓋をかぶせるように入れ歯を装着します。
茶筒の蓋を引っ張り上げようとすると外気の力でなかなか抜けないように、コーヌスデンチャーも強く固定され簡単に外れるということはありません。
コーヌスデンチャーの内冠
このように保険適用でない方法であれば、入れ歯でも硬いものを咀嚼できる可能性が高いです。
保険適用外の入れ歯の固定方法でも費用はそれほどかかりません
保険適用外となると費用が気になる方も多いかと思いますが、多くの場合で入れ歯は多数のインプラント埋入を行うよりも安く済みます。
また、外科処置をしなくて済みますし、顎の骨の厚みといった制限が少ないため、内科的疾患を考慮する必要もあまりありません。
より幅広い方が咀嚼力を回復できる可能性が高い方法と言えるでしょう。
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