歯周病対策に歯石を取るべき理由
2022年5月6日
歯石除去が歯周病予防の第一歩です
歯石は歯周病を引き起こす原因です。
そもそも歯石は、口の中に残った食べ物が口腔内の細菌で分解されてできたプラーク(歯垢)が唾液の中の石灰分を吸収して石のように硬くなったもの。
(唾液の中には石灰分が含まれていて、「再石灰化」という現象で虫歯を進行するのを防ぐ働きがあるのですが、逆に歯石ができる原因にもなります。)
歯石は硬く歯と歯の間にこびりついてしまい、歯磨きで取り除くことはできません。
どんなに上手に歯磨きをしても完全にプラークを取り除くことは難しいので、歯石を取るためには定期的に歯科医院に通って除去が必要なのです。
歯石放置で起こる歯周病の危険性とは?
歯周病はプラークで繁殖した細菌が歯茎、そして歯を支える歯槽骨と呼ばれる骨の土台を侵す危険な感染症です。
(細菌が原因という意味で感染症と表現しましたが、風邪ように人から人に簡単にうつるわけではありません)
実は日本人の歯を失う最大の原因は虫歯ではなく、この歯周病なのです。
それだけではありません。
歯周病になると歯茎から出血するのですが、出血は細菌や細菌が作る毒素を全身に行き渡らせてしまうということにもなります。
現在では様々な病気や疾患と歯周病の関係がわかってきています。
たとえば、糖尿病は歯周病の合併症とまで言われているのです。
歯周病の程度はポケット(歯と歯の間の溝)の深さの測定で調べます
「歯石除去は不要」を主張する説があるものの…
そんな恐ろしい歯周病を予防する基本は、日々の歯磨きと歯石除去のための歯科医院でのクリーニングです。
とは言え、歯石取りは不要と言う説を唱える歯科医がいます。
その理由は、「歯周病を引き起こす細菌はプラークの中にいて、石化した歯石の中にはいないから」。
歯周病を防ぐのは毎日の丁寧なブラッシングやフロスによるプラークコントロールで、歯石自体を取っても歯周病予防にはならないという説です。
確かに毎日の口腔内ケアでプラークコントロールを行うことは大事です。
数ヶ月に一度だけの歯石除去のクリーニングだけでは歯周病は防げません。
また、石化した歯石内部の細菌は閉じ込められていて、直接歯茎を侵す危険性はありません。
しかし、だからと言って歯石除去は歯周病予防に無関係かというと決してそのようなことはありません。
歯石除去をしないと起こりうるリスク
まず、歯石があるとその周りにプラークが付着しやすくなります。
顕微鏡レベルで見ると、歯石の表面はザラザラしていてプラークがとても溜まりやすい状態なのです。
結果的に歯石が付着している歯肉(歯茎)だと、時間が経つことで炎症を起こしやすい事実が確かめられています。
そのため、歯石除去も歯周病予防に必要なことは間違いありません。
日常の歯磨きももちろん大切
歯石除去の施術が歯周病の治療にもなる
歯石は歯肉の表面に付いている場合なら通常のクリーニングで取ることができますが、次第に歯と歯茎の間にも付着していくことを忘れてはいけません。
歯肉の中深くにこびりついた歯石は、SRP(スケーリングルートプレーニング)という徹底した歯石除去をしますし、場合によっては切開して歯石除去を行うフラップ手術で取り除く必要があります。
(フラップ手術では歯周病に侵された部分の歯肉も除去します。)
SRPやフラップ手術で歯石を取り除くと、歯茎が引き締まり歯周病の症状が改善するのです。
また、このような方法を使っての歯石除去は、歯周病治療の基本にもなります。
歯周病対策は毎日の歯磨きと定期的な歯石除去
先ほども書いたように、定期的な歯石除去だけで歯周病を防ぐことはできません。
毎日の口腔内ケアが大切だということは事実です。
しかし、それでも「歯石除去は役に立たない」というのは俗説というよりデマに近いと言って良いでしょう。
そのようなことを言う歯科医がいるのは残念なことと言わざるを得ません。
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