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虫歯菌と歯周病菌について~虫歯と歯周病になる仕組みを解説~

2023年2月4日

虫歯菌と歯周病菌1
虫歯と歯周病は代表的な口の中の疾患です。

 

虫歯は強い痛みがありますし、過去に治療で歯医者に行ってガリガリ削られたりしたことで「歯医者は痛い」「歯医者は怖い」といった印象の元になっている方が多いかもしれません。

 

一方で、歯周病は痛みがないまま症状が進行してしまうため、「サイレントキラー」という恐ろしい名前が付いています。

 

このように、対照的な虫歯と歯周病ですが、どちらも細菌が引き起こす感染症です。
とは言え、人は口の中に何百種類もの細菌を持っています。

 

そのため、感染症とは言っても、元々自分の口の中に持っていた細菌が引き起こすことがほとんどと言ってよいでしょう。

 

今回はこの虫歯菌と歯周病菌の特徴や虫歯・歯周病になってしまう原因を解説していきます。

 

虫歯はミュータンス菌と糖分が原因で発生

 

先ほど、虫歯や歯周病などの感染症は「元々自分の口の中に持っていた細菌が引き起こすことがほとんど」と言いましたが、虫歯を引き起こす菌の中で代表的なミュータンス菌は、生まれたばかりの乳児にはありません。

 

ミュータンス菌は口移しや食器の共用によって主に親から子に感染します。
3歳までミュータンス菌が感染しないように注意をすると、その後口腔内の虫歯菌が増えることはなくなり、かなり虫歯になりにくくなります。

 

とは言え、ミュータンス菌の感染を幼児の時に遮断するのは簡単ではありません。
残念ながらほとんどの人は虫歯菌に感染してしまいます。

 

また、虫歯は砂糖などの糖分を虫歯菌が分解して酸性の物質を作ることが原因です。

 

歯の表面はエナメル質という非常に硬い物質で覆われていますが、エナメル質の主成分は石灰で、酸には弱い物質でもあります。
そのため酸性の物質がエナメル質を溶かしてしまい、虫歯菌を歯の中に侵入させるのです。

 

虫歯菌と歯周病菌3
歯は唾液中のカルシウム分、リン酸イオンにより再石灰化されます

 

歯周病は口腔内の細菌が変化したプラークが原因で発生

 

虫歯を作る原因になるのは主として糖分とミュータンス菌な一方で、歯周病は多種の口腔内の細菌が関係していると言われていることはご存じでしょうか。

 

まず、食べたものが口の中に残っていると、それらの口腔内の細菌がプラーク(歯垢)というネバネバした物質に変化します。

 

このプラークのように細菌が大量に繁殖してヌメヌメした物質は「バイオフィルム」と呼ばれています。

 
細菌の塊のバイオフィルムは、酸性物質なら歯の表面のエナメル質を溶かし虫歯になりますが、歯周病は歯ではなく歯茎に炎症を起こし、さらに歯茎そして歯を支えている骨の土台、歯槽骨を破壊しまうのです。

 

また、歯周病を引き起こす細菌は嫌気性といって空気を嫌う性質があります。
プラークが歯と歯茎の間のポケットと呼ばれる部分に入り込むと、そこは嫌気性細菌の絶好の住みかになります。

 

丁寧な歯磨きでプラークを毎日除去することが、歯周病の予防になによりも大切と言われているのはそのためです。

 

虫歯菌と歯周病菌2
プラークは最近の格好の住みか

 

口腔内ケアをしないと虫歯と歯周病が同時に発生することも

 

プラークが取り除かれないと唾液の中に含まれる石灰分を吸収して歯石という硬い物質に変わります。
歯石にはプラークが付きやすく、嫌気性の細菌を守る培地のような存在になります。

 

歯磨きだけでプラークは完全には除去できません。
定期的な歯石除去が必要なのはこのためです。

 

歯石を作る元になる唾液中の石灰分は酸性の物質で、歯から失われた石灰分を補う再石灰化を行う働きもあります。

 

歯は石灰分を失う脱灰と再石灰化が繰り返し行われていて、そのバランスが崩れると虫歯になるのです。

 

歯石を作る時に、悪玉の唾液中の石灰分は虫歯から歯を守る役割も果たしています。

 

このような仕組みになっているので、歯石の付きやすい人は虫歯になりにくいとも言えます。

 

ただし、口腔内ケアをきちんとしないと虫歯と歯周病が同時に発生するリスクもあるのです。

 

虫歯菌と歯周病菌はどちらも困った存在ですが、人は細菌と共存して生きていかなければなりません。

 

除去することはできない以上、口腔内ケアで歯周病菌や虫歯菌が暴れ回らないようにすることが大切なのです。

 
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