口腔ケアは健康な長寿のため
2022年2月18日
口腔内の健康は健康な長寿につながります
最近、歯を残すことが元気な老後を過ごすために大切だという認識が高まってきました。
80歳で20本の歯を残そうという「8020運動」をご存知の方は多いのではないでしょうか。
成人の歯は親知らずを除くと全部で28本なので、80歳までに8本以上の歯を失ってしまうとこの目標に達することができません。
実際、8020運動が始まった1989年頃は、80歳以上で20本の歯を残している人の割合はたった7%程度でした。
しかし2017年には51%、つまり半数以上の人が8020を達成するまでになっているのです。
現在は単に歯を残すだけではなく、より健康な口腔内ケアを目指すことが重視されるようになっています。
なぜここまで歯を残すことが重要視されているのでしょうか。
ここでは、「健康な長寿のために歯が大事な理由」を解説していきますよ。
歯が残っていることが健康な長寿ために必要な理由
歯が残っていないとことのデメリットは計り知れません
歯が残っている、つまりしっかりした咀嚼力を維持できていると、「噛めない」という理由で食べられないものがなくなります。
たとえば、高齢者にとって不足しがちなタンパク質の効率的な摂取源である肉類(焼肉やステーキなど)は、歯が悪いと噛み切ることが難しくなってしまいます。
自力で食べられるものが増えれば、それだけ必要な栄養が摂りやすくなるのです。
また、しっかりと咀嚼を繰り返すことは消化を良くするだけでなく、感覚機能を活性化させ脳に有効な刺激を与え、認知症の防止にもつながることがわかってきました。
さらに、食べられるものが限定されると外食が億劫になり、周囲とのコミュニケーションが乏しくなってしまいがちです。
こういった理由からも、歯が残っていないことは認知症への引き金にもなりかねないのです。
歯を失ってしまう大きな原因は歯周病と虫歯
歯を失ってしまう原因は、主として歯周病と虫歯が挙げられます。
しかし、どちらも日頃からの歯磨き、定期的な歯石除去や検診でリスクを減らすことができます。
つまり、歯を失わないためには、口腔内の健康状態を優れた状態に保つ必要があると言っても過言ではないでしょう。
ちなみに、虫歯以上に歯を失う原因となっている歯周病は、たとえ歯を失うことがなくても、糖尿病をはじめとしたさまざまな生活習慣病を引き起こします。
特に糖尿病は歯周病を悪化させる病気なため、歯周病と糖尿病は合併症とさえ言われている要注意な病気です。
また、口腔内ケアを怠ると、高齢者に多い誤嚥性肺炎のリスクも高まってしまいます。
健康のためには口腔内をきれいに保たなければいけない理由がたくさんあるのです。
すでに歯が残っていない場合はどうするべき?
すでに歯が残っていない場合もご安心ください
ここまで「長寿の秘訣は歯が残っていること」と説明してきましたが、それではすでに歯を失ってしまった人はどうすればよいでしょうか。
安心してください。
自分の歯(天然歯)の代わりに入れ歯やインプラントを使って咀嚼がきっちりできていれば、天然歯を残しているのと同様に認知症のリスクを減らすことができます。
ただ、インプラントは虫歯にはならないものの、インプラント周囲炎という歯周病の一種になってしまう恐れはあります。
インプラント周囲炎からインプラントのために埋入されたチタンネジを除去するのはかなり大変な施術になってしまい、一般の歯科医院ではなかなか対応ができません。
メンテナンスを怠らずに口腔内ケアを行う必要性は、天然歯よりさらに高いと言えるのです。
また、入れ歯も清潔に保つことが大切です。
ある介護施設で入れ歯の手入れが不十分で、事実上入れ歯を使えなかったために、急速に認知症が進んだと思われるケースがありました。
入れ歯の掃除や入れ歯を使い続けることは、高齢者ケアにおいては非常に重要なのです。
健康な長寿のためには口腔内のケアが絶対に欠かせません
口は体の内部の入り口です。
食事という行為が喜びになるのは咀嚼がきちんとできればこそでしょう。
また、口腔内ケアを十分に行うことで生活習慣病が悪化したり、誤嚥性肺炎や認知症のリスクを小さくしたりすることができます。
健康な長寿のために口腔ケアの果たす役割はとても大きいのです。