抜歯が必要な時って?抜歯が必要な7つのケースを解説
2024年07月30日
抜歯はできるだけ避けたいものの…
抜歯は文字通り「歯を引き抜く」治療です。
乳歯から生え変わった永久歯は、一度抜歯すると新しく生えてくることはありません。
さらに抜歯は非常に強い痛みを伴うため、麻酔が必要です。
このような理由から誰も好んで抜歯をしたいとは思わないでしょう。
しかし、時として抜歯が必要な時もあります。
どうしても抜歯しないといけない時とはどんな時なのか、一つずつご紹介していきます。
1.進行した虫歯で歯質が残っていない
虫歯の治療は初期の段階であれば、フッ素塗布を行い、唾液中の石灰分による再石灰化の働きで進行を止めることが可能です。
しかし、ある程度虫歯が進行すると、虫歯の再発を防ぐために虫歯の患部(軟化象牙質)を取り除く必要が出てきます。
そして、そういった虫歯の治療を何度か繰り返すと、歯茎から出ている歯の部分がわずかになってしまうのです。
エクストルージョン法という、歯肉の下にある歯の根を少し引き出す治療をする場合もありますが、それには限度があります。
歯質が少ししか残っていないないと、いわゆる差し歯であるクラウンを被せることもできず(正確には差し歯を支えるコアを立てられなくなります)、最終的には抜歯が必要になってしまいます。
2.歯周病が進んで歯がぐらついている
歯周病は歯肉と歯の土台となる骨(歯槽骨)を蝕みます。
歯周病の症状が進行してしまうと、土台を失った歯はぐらつくようになってしまうのです。
早めに歯周病の治療を行えばこの動揺は止められます。
とはいえ、歯周病がさらに進行すると、歯が脱落してしまったり、無理に残してしまうと噛み合わせや咀嚼障害が出て周りの歯に悪影響を与えてしまったりする恐れが出てきます。
これらのリスクを防ぐために、歯周病がある程度まで進行してしまうと、どうしても抜歯をする必要が出てくるのです。
3.歯の根が破折している
歯がひび割れたり、割れてしまったり、折れたりしてしまうことを「破折」(はせつ)といいます。
虫歯が進行して抜髄(神経を取ること)の治療を行った後は、歯の根に薬剤を詰めてしっかりと塞ぎますが、それでも治療した根の部分が再び炎症を起こす場合があります。
歯が弱ってしまうと、歯の根の治療を行ったとしても、歯の根が破折してしまう場合があるのです。
また、被せ物を装着するための土台に金属製のコアを使用すると、破折の原因となるケースもあります。
わずかな破折であれば治療が可能ですが、多くは抜歯を避けることができなくなります。
これは事故などで歯の根に破折ができた時も同様です。
4.便宜抜歯
便宜抜歯とは矯正治療の過程で歯を抜くことです。
虫歯でも歯周病でもないのに歯を抜くのに抵抗感を持つ人は多いのですが、矯正で歯をきれいに並べ直そうとしても並べ直すスペースがなければできません。
歯を少し削って抜歯を避けられる場合もありますが、無理をして抜歯を避けると矯正をしてもきれいな歯並びにならない可能性が出てきてしまいます。
5.親知らず
成人の歯28本に数えられない親知らずは、ほとんどの人の場合、横向きに生えたり、埋没したりしており、歯としてきちんと機能していません。
また、親知らずは奥にあり、歯磨きが難しく、周辺の歯を巻き込んで虫歯を起こしたり、炎症を起こしたりしがちです。
また、治療をするにも手間がかかります。
このため、無理をして残すのではなく、虫歯や炎症を起こした場合は抜歯を勧めることが多いです。
6.転位歯、過剰歯
転位歯とは、歯の位置が正常より舌側や頬側にずれているものを指します。
また、過剰歯とは、親知らず以外で28本の通常の歯以外に余分に生えている歯のことです。
どちらも噛み合わせや咀嚼に悪影響を与えるため、抜歯が必要となるケースが多いです。
7.戦略的抜歯
戦略的抜歯とは、主として将来のインプラントのために、状態の良くない歯を抜歯することを指します。
状態が悪い歯があると、土台となる歯槽骨を失わせてしまうので、インプラント治療が難しくなるのを防ぐために行います。
口腔内全体の治療のために、あえて抜歯を行う行為を「戦略的抜歯」と呼ぶ場合があるのです。
歯周病が進行し歯の動揺が大きいと抜歯しなければいけない場合もあります
抜歯はから名ずしも「悪いこと」ではありません
天然歯をできるだけ残す努力は必要です。
しかし、どんな時でも抜歯が悪いというわけではなく、時として抜歯がむしろより良い選択になるケースもあるのです。
抜歯を行う時は、抜歯の理由を聞くだけでなく、将来の口腔内の状態についてや、抜歯をした後に咀嚼力をどう補えば良いかといった内容を、歯科医とよく話し合いましょう。
虫歯や歯周病で歯がボロボロになってしまった方へ