親知らずは抜いた方が良い?抜かなくても良い?
2021年12月19日
親知らずは斜めや横向きに生えているケースが多い(ピンク色の歯が親知らずです)
この記事では、親知らずを抜いた方が良い場合と抜かなくても良い場合をご紹介していきます。
普段はあまり意識する機会のない親知らずですが、実は抜かずに放置しておくと深刻なケースになることもあります。
早急に抜いた方が良い場合も珍しくはないので、まだ親知らずを抜いていないという方はぜひお読みくださいね。
そもそも「親知らず」とは?
親知らずはその名の由来の通り、親がもう子供の歯の生え方に気を使わなくなる10代後半から20代にかけての時期に生え始めます。
英語では「wisdom tooth」と言います。
直訳すると「智歯」という意味で、つまり「知恵がつく頃」に生えてくる歯です。
解剖学的には親知らずが生えてくると、成人になった証拠とも言えます。
実際、考古学では親知らずのあるなしが人体化石の年齢を推定する有力な手掛かりになるのです。
親知らずには永久歯28本に入らない歯を指します
「成人の歯」いわゆる永久歯の数は28本です。
ところがこの28本の中に、口内の一番奥の上下左右にある親知らず4本は含まれません。
親知らずが永久歯の数に入らないのは、ほとんど多くの人の顎に親知らずが入りきらないためです。
親知らずは真っ直ぐに生えないケースが多く、斜めや真横に生えてしまうと物を噛む役割はほとんど果たせません。
つまり大部分の親知らずは機能を果たせる歯の「数の内には入らない」のです。
親知らずを抜かない場合の悪影響とは?
親知らずは咀嚼に役立たないだけではありません。
まっすぐに生えていない場合は歯ブラシで磨きにくくプラークも溜まりやすいので、虫歯や智歯性周囲炎(ちししゅういえん)といった歯肉炎症を引き起こしがちです。
おまけにこれらの悪影響は、隣の歯(第二大臼歯)を巻き込んでしまうことも少なくなく、放置すると口内の健康を著しく損なってしまう可能性があるのです。
親知らずの抜歯は大がかりになることもある
中には親知らずがまったく生えてこない人や、あるいは表面に現れず歯肉に深く埋まっている人もいます。
このような場合はすぐに親知らずが虫歯になってしまったり、歯肉炎を起こしたりといったことはないので、急いで親知らずを抜歯する必要はありません。
とは言っても、遅かれ早かれ虫歯や歯肉炎を起こす可能性はありますし、骨と癒着してしまって抜歯が大掛かりとなる事態も稀ではないのが、親知らずの厄介なところです。
そのため親知らずの抜歯を自院ではせずに、大病院に紹介状を書いて抜歯をお願いする歯科医院も少なくありません。
銀座並木通り歯科には口腔外科医を配置しているので、大部分の親知らずの抜歯は当院で行えます。
しかし、中には完全麻酔が必要なケースもあり、すべての親知らずの抜歯を行うというわけではないのです。
親知らずは早いうちに抜いた方が良いケースが大半
親知らずの抜歯は大掛かりになるケースも多いです
そんな恐ろしいことを聞かされては、親知らずの抜歯は避けたい、少なくとも急ぎでないなら先延ばしにしたいという気持ちになるのも無理はありません。
痛みが少々あっても一旦痛みが落ち着いてしまえば、「できるだけ抜歯は先延ばしにしよう」と思うのはむしろ自然かもしれませんね。
しかし、親知らずはほとんどの人がいつかは抜歯しなければなりません。
しかも親知らずの抜歯は骨が柔らかい若いうちの方が有利です。
年齢を重ねると親知らずと骨との癒着が進んでしまい、抜歯がますます難しくなるような可能性があるのです。
「親知らずは予防的に早めに抜いてしまった方が良いのか」と聞かれれば、大半の口腔外科医は「その通り」と答えるでしょう。
親知らずの抜歯ではリスクを抑える処置も行われています
CTを使うことで親知らずの抜歯のリスクは小さくできます
ただ、親知らずの抜歯はまったくリスクがないわけではありません。
稀に抜歯の際に神経が傷つき、痺れが残るようなケースも確認されます。
このようなリスクを最大限に小さくするため、親知らずの抜歯の前にはCT撮影が行われる場合もあります。
CTで神経や血管の様子を正確に把握できるので、抜歯のリスクを回避しやすくなるのです。
また、親知らずの抜歯が長時間におよぶ場合は、鎮静麻酔も行われます。
鎮静麻酔は抜歯の不安やストレスを大幅に軽減できるため、一度に複数の抜歯を行っても負担はずっと小さくなるでしょう。
親知らずを抜歯する必要がない場合はある?
親知らずの抜歯はしたくないと思ってしまう方も多いですが……
ここまで「親知らずを抜歯する」前提で話をしてきましたが、では親知らずを抜歯する必要のない人はいるかという点も気になりますよね。
親知らずが真っすぐに生え、普通の歯と同様に使える人もいます。
このような方は、予防的な意味で親知らずの抜歯をする必要はないでしょう。
ただし、斜めに生えている場合よりプラークは取りやすいとは言っても、口の一番奥にある親知らずをしっかり磨く努力はしなくてはいけません。
抜歯した親知らずを再利用できるケースも
ちなみに、抜歯した親知らずを保存して、他の歯の抜歯の後に代わりに埋め込むという治療もあります。
もともとは自分自身の歯ですから生体の拒絶反応はありませんし、インプラントのようにチタンネジを埋め込む必要もありません。
ただし、これは親知らずに虫歯がなく、また抜歯した歯と形状が似ていることが条件となります。
可能性も含めると成功する確率は決して高いとは言えません。
親知らずの抜歯は早めに!一度歯科医院にご相談ください
親知らずを使うなら「歯磨きもより丁寧に」を心がけましょう
親知らずを抜歯するなら、できるだけ早く抜いた方が良いというのが結論です。
予防的に抜歯を行うのであれば、たとえ施術が困難な抜歯と予想される場合でもスケジュールの調整がしやすく、スムーズに処置を受けることも可能です。
「痛みが強くなってから抜こう」と先送りにするのではなく、「抜くなら今でしょう」が最適なケースが大半なのです。
放置してしまっている親知らずの状態が気になる方は、ぜひ勇気をもって当院に相談してくださいね。