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インプラント周囲炎とは

2021年4月25日

インプラント周囲炎で退縮した歯茎の(説明図)

 

インプラントで装着した人工歯は虫歯になることはありません。また、根が腫れる根尖性歯周炎になることもありません。しかし、インプラントの歯周病であるインプラント周囲炎になることはあります。そして、インプラントは天然歯よりも歯周疾患を発症しやすい傾向にあります。

 

厳密にいうと、これらの病気は「歯周病」とは少し異なります。ただ、「インプラント周囲粘膜炎」は歯周病における「歯肉炎」、「インプラント周囲炎」は「歯周炎」とほぼ同じものと考えていただいて問題はありません。重要なのは、病気の原因です。

 

天然歯とインプラントを比較すると、「歯根膜の有無」という決定的な違いが浮き彫りになってきます。歯根膜は、歯と歯槽骨との間に存在する組織で、歯にかかる力を緩和するだけではなく、歯肉や歯槽骨へと血液供給も担っているのです。それが欠損したインプラントでは、自ずと歯周組織の免疫力も低下します。

 

歯周疾患は、歯周病菌に感染することで発症する細菌感染症であることから、免疫力の低下はそのまま発症リスクの上昇へとつながるのです。さらに、インプラント周囲病変は通常の歯周病よりも進行が速いことがわかっています。その速度はおよそ1020倍程度といわれています。これもまた免疫力が低下していることに由来しています。

 

それから、インプラントは天然歯よりも歯垢や歯石などが沈着しやすい傾向にあることもまた、インプラント周囲炎などを引き起こしやすい原因といえます。もちろん、インプラントの上部構造は、セラミックなどで製作されていることから、比較的汚れが付きにくい傾向にあるのですが、インプラント周囲粘膜炎が進行し、歯肉の吸収などが目立ってくると、アバットメントやインプラント体そのものが露出します。そこに歯石等が形成されると、除去するのが極めて困難となるのです。

 

インプラントは定期的なメンテナンスが大切

 

このように、インプラントは天然歯と比べると歯周疾患にかかりやすく、進行速度も極めて速いことから、適切なケアの継続が必須といえます。インプラント周囲炎を可能な限り防ぐためにはインプラント後の定期的なメンテナンスは非常に大切です。

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インプラントの4つの誤解

2021年4月18日

 

歯を失った時に、歯の欠損の治療にはインプラントの他にブリッジ、入れ歯がありますが、ブリッジは健康な歯を削る必要があります。また、入れ歯は装着感に不満が出やすく咀嚼力も劣ります。

インプラントはそれらに比べると、天然歯にもっとも近い使用感や咀嚼力を提供しますし、耐久性も高い治療です。欧米では欠損歯の治療の第一選択はインプラントになることが多く、インプラント以外になるのは、むしろ例外的です。

ところが、日本ではインプラントが健康保険ではできず、相対的に費用が高いことと、インプラントに対するマイナスのイメージが強いため、インプラントを避ける人が少なくありません。しかし、そのようなインプラントへのマイナスイメージの多くは誤解に基づいていることが多いのです。

 

インプラントで使用する器具の準備を行う歯科医師

 

誤解:インプラントは異物

 

インプラントが人工物というのは間違いではありませんが、インプラントで使用するチタンネジは金属の中でも生体親和性が非常に高いことで知られています。また、インプラントネジはオッセオインテグレーションという骨と顕微鏡レベルで表面が一体化され、拒否反応を起こさずに結合されます。このため、インプラントは異物だから危険というのは誤解と言って過言ではありません。

ただし、チタンも非常に稀ですが金属アレルギーを起こす可能性があります。このためチタンの代わりにジルコニアというセラミックに近い性質をもつ物質で作られたインプラントネジも存在します。

 

誤解:インプラント手術は危険

 

歯茎の下には動脈や神経が張りめぐらせていてそれらを傷つけないように細心の注意が必要なのは言うまでもありません。しかし、今は術前にCT画像から3次元的に埋入部分の状態を把握することで危険は大幅に減らせます。また、CTのデータで手術方法をシミュレーションし、その通りに正確にネジの埋入を行うガイドオペという手法も開発されています。

インプラントは日々進歩しており、マスコミなどがセンセーショナルに報道するような医療事故は歯科医の技術が高ければほとんど考えられないと言って良いでしょう。

 

インプラント施術は徹底した安全管理の下で行われる

 

誤解:インプラントは治療に長期間かかる

 

インプラント治療はいくつものプロセスに分かれます。特に進行した虫歯など抜歯がやむ得ない場合は、抜歯後傷口が安定してからインプラントのチタンネジを埋入し、ネジと骨が固着されてから人工歯を装着するといった過程は、それぞれ月単位の感覚をおく必要があります。

また、チタンネジを埋め込むには一定の骨の厚みが必要で、骨量が不足している場合は骨を造成することも必要です。この機関は骨の造成量にもよりますが、1年程度要することもあります。

ところが、最近は治療技術の進歩により、即時埋入即時荷重といって、抜歯後すぐにインプラントネジを埋入する、さらにそのまま人工歯を装着することがケースにより可能になってきました。また、骨造成も短いネジを使うことで不要になる場合も多くなりました。これらすべての場合には当てはまりませんが、インプラントの治療期間を大幅に短くすることも可能になってきました。

 

誤解:インプラントは前歯に向かない

 

前歯は目立つので審美的に高いハードルがあります。特に歯と歯茎の境目の形状を自然に美しく形成するのは難しいとされています。最近のインプラント技術は審美的な改善も大きく、前歯をインプラントで天然歯とほとんど変わらない、むしろより美しく作ることも可能になってきました。

また、前歯部は、奥歯と違って歯が薄く、その分骨幅が少なくインプラント埋入位置など、少しのズレも許されないシビアなケースになります。さらに、奥歯のインプラントに比べ前歯のインプラントは咀嚼という機能的な面だけでなく、審美的な満足が高く求められます。このため、前歯のインプラントは他の部位の歯と比べて難しい症例となります。

前歯のインプラントは奥歯とは難易度が大きく違うため、前歯のインプラントを成功させるには、現在の欠損部の骨の状況、両隣在歯の歯並び、歯を失った原因、を的確に診断できる、より高い技術と多くの経験を持つ歯科医師が行う必要があります。

また、前歯を失った全てのケースでインプラントがベストチョイスとは限りません。インプラントを満足な状態で何年間にも渡って維持できるかどうかは、審美性とともに骨や歯肉の状態、さらに内科的な状態も含め総合的な判断をしなくてはいけません。インプラントでは施術そのものと同様、あるいはそれ以上に事前の診断でインプラントの適合性を判断できる力が歯科医師に求められます。

しかし、高い技術があれば、前歯もインプラントも行えます。むしろ、前歯こそ、入れ歯やブリッジのような方法より、インプラントが審美的に優れた治療法と言えます。適合性を十分に評価し、高い技術が伴えば、前歯にも積極的にインプラントが適用できるようになってきています。

 

前歯にもインプラントが適用できる

 

誤解:インプラントは中高年の治療

 

インプラントは自由診療のため治療費が高くなることもあり、中高年の治療というイメージを持たれがちです。しかし、インプラントは骨の厚み、生活習慣病により全身状態の問題などで中高年になるとむしろ適応できない場合が出てきます。

年齢が若い方で打撲などで歯を失ったよう時、最適な治療はインプラントです。ブリッジは健康な歯を削り、入れ歯は見た目や使い勝手も気になります。費用がかかると言ってもインプラントはきちんとメンテナンスを行えば一生使い続けることも可能です。若い方にこそインプラントは勧められます。

 

インプラントは若い人にも

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インプラントに向く人、向かない人

2021年4月16日

歯を失うと、それを補うために人工歯が必要となりますが、人工歯は入れ歯、ブリッジ、インプラントの3種類があります。ブリッジとは文字通り失った歯の両側に橋のように連結して失った歯の部分に人工歯を装着する方法です。

入れ歯は「年寄りくさい」というイメージを持つ人もいたり、装着すると違和感があったり、噛む力が弱いという点で嫌がられることが多かったので、ブリッジは歯を失った時には治療の第一選択肢でした。しかし、ブリッジは橋渡しをするために両側の歯を削る必要があります。また、両側の歯に負担がかかるという欠点があります。

インプラントは咀嚼力、他の歯への負担が小ささなど、天然歯にもっとも近い機能を提供します。また、見た目も他の人工歯と比べて自然です。日本は健康お保険制度が充実しているため、健康保険で治療が可能な入れ歯やブリッジが選ばれることが多いのですが、歯科治療費が高いアメリカではインプラントが歯を失った時には、優先的に選ばれる治療法です。

日本でインプラントが選ばれない理由は費用だけではありません。「異物を入れるのは怖い」、「年を取っても大丈夫なのか」、「チタンは金属アレルギーを起こさないのか」、「フッ素入り歯磨きでチタンネジが劣化すると聞いた」などの懸念を持つ人も少なくありません。


しかし、インプラント治療を何か恐ろしいもののように思ってしまうのは、誤解に基づくものが多いのが事実です。インプラントは50年以上前から行われていますし、最初にインプラントを装着した患者はその後40年以上障害に渡ってインプラントを使用し続けました。

日本でもインプラント治療を受ける人は毎年100万人以上います。インプラント治療は確立された治療であり、機能的には歯を失った時にはもっとも優れた治療法と言ってよいでしょう。

しかし、そのようなインプラント治療を受けることが難しい、あるいは不可能な場合はあります。一つは糖尿病などの代謝疾患や高血圧、や心臓臓疾患を患っている場合です。全身状態に問題があるとインプラント手術のリスクは高くなるため、当院では血液検査を含め提携医院での内科的なチェックをまず行います。骨代謝異常の患者さんの、骨粗鬆症のお薬を服用中の場合はンプラントのお勧めできません。

チタンネジを埋め入れる骨の厚みもインプラントの可否を決める重要な要素です。特に歯周病の進行で抜歯にいたったようなケースでは歯周病で歯槽骨(歯の土台となる骨)が十分な厚みを持っていないことも多く見られます。

ただ、骨の厚みが不足している場合も、骨造成で骨の厚みを確保する治療技術が進んでいます。今後、再生医療の進歩で歯肉の不足している状態にもより幅広くインプラントが適用される可能性が期待できます。

 

 

CTによりインプラントの術前のシミュレーションがコンピュータ上で行える


インプラントがこの世に出て50年以上の間に数々の技術的な進歩がありました。その名の一つに歯科用CTCBCT)があります。チタンネジを埋め入れる顎骨には動脈や神経が通っており、それらを傷つけるリスクは小さくありません。

術前にCTで動脈や神経などの存在場所を立体的に映し出すCT、さらにCTで得られたデータを元に最適な埋入方向を決めるコンピューターシミュレーション、ガイドオペといってそのシミュレーションに従って施術を行うサポートツールも実用化されたことで、そのようなリスクはずっと小さくなりました。

 

 

ガイドオペではチタンネジの埋入方向をガイドするツールを装着する


インプラントの障害になる、代謝疾患や骨の厚みに問題が少ないのは、若い人です。若い人がスポーツなどによるケガで歯を失った時、インプラントは最善の選択です。しかし、インプラントの費用が問題になることはあります。

そのような場合でもブリッジで健康な歯を削るより、入れ歯を一時的に入れ、後にインプラントに置き換える方法も検討してよいでしょう。インプラントは優れた治療です。インプラントが可能なら、できるだけインプラントによる治療を行うことを検討すべきでしょう。

銀座でインプラントするなら銀座並木通り歯科

どう違うインプランと天然歯

2021年4月14日

インプラントは、天然歯を失った時、チタンネジを埋め込みそれに人工歯と装着することで天然歯の代わりに噛む力をもたらす治療法です。インプラントの咀嚼力は非常にすぐれていて天然歯とほとんど変わりません。人工歯は比較的自由に設計できるので審美的にはむしろ優れていると言っても過言ではありません。

インプラントのチタンネジは、顎の骨である歯槽骨に埋め込まれます。チタンネジは歯槽骨と顕微鏡レベルでオッセオインテグレーションと言って高度に結合されます。インプラントは、言わば歯の機能を補う人工臓器です。インプラントは入れ歯のように着脱する必要もなく、天然歯のように口腔内で活用できます。しかし、あくまでも人工臓器であるために、これまで以上口の中のメインテナンスが必要となります。

 

インプラントと天然歯


天然歯とインプラント歯の大きな違いに、天然歯には歯根膜があるということがあります。私たちの歯は、歯周組織と呼ばれる歯肉、歯槽骨、歯根膜、セメント質で支えられています。天然歯の場合、歯の根っこ部分である歯根を覆うように歯根膜が存在します。歯根膜は、厚さ0.15~0.38mmと薄い膜状のものであり、外部からの刺激や衝撃から歯や歯槽骨を守る役割があります。歯と歯が咬み合う時、互いの歯が衝撃を受けますが、歯に加わる衝撃を歯根膜が吸収・分散させることで、歯や歯槽骨を衝撃から守ります。

清掃不良などによって口腔内で細菌が増殖していくと、歯根膜を含む歯周組織は歯周病菌によって蝕まれていき、最終的には歯を支えきれなくなり、抜けてしまいます。歯根膜は歯根部に付着するように存在するため、歯が抜けると同時に歯根膜も失ってしまいます。これが歯周病で歯を失うメカニズムです。

 

インプラントはメンテナンスが大切


インプラントにはその歯根膜が存在しません。歯根膜が存在しないために、直接インプラントのチタンネジは歯槽骨が結合しています。クッションの役割を果たす歯根膜が存在しないインプラントでは、直接衝撃が歯槽骨に加わるために噛み心地の違和感につながることもあります。

 

しかし、それより問題となるのは、血液を供給し栄養を吸収することで歯周病の原因菌などから歯周組織を守っていた歯根膜が失われることです。このためインプラント歯は細菌に対する抵抗力が弱く、天然歯よりも細菌感染するリスクが高くなります。これはインプラント周囲炎と呼ばれるインプラントの歯周病です。

 

インプラント周囲組織の炎症は広がりやすく、インプラント周囲炎に1度罹患してしまうと、歯槽骨や周囲組織が細菌によって徐々に溶かされていき、最終的にインプラントが脱落してしまいます。インプラント周囲炎に罹患しないための予防が必要となります。

インプラントは天然歯と違い虫歯にはなりません。

 

しかし、インプラント周囲炎という歯周病にはなります。そして、それは天然歯の歯周病より速く進行し、より深刻な症状になるリスクがあります。定期的に歯科医院でのメインテナンスを行なうことが、インプラントを末永く維持するための鍵です。

インプラントを埋入し、人工歯(上部構造)を装着すれば治療は完了しますが、定期的にメンテナンスを受けることが望まれます。

 

インプラントの構造

 

 

インプラントはインプラント体(歯根部)、アバットメント(支台部)、人工歯(上部構造)の3つの部分に分かれる。

インプラントは抜歯で歯を失った時に、人工の歯のを埋め込む治療です。歯は歯根といって根の部分が歯槽骨と呼ばれる土台の骨に埋まって歯を支えています。インプラントは人工の歯根をインプラント体あるいはフィクスチャーと呼ばれるもので代用します。インプラント体は種々の材質がありますが、現在はチタンおよびチタン合金が主流です。

チタンが人工歯根なる下部構造の材料に使われるのは、チタンが金属アレルギーを非常に起こしにくいということと、オッセオインテグレーションと言って骨組織と顕微鏡レベルで一体化する優れた性質を持っているかです。

インプラント体と人工歯をつなぐ支台部はアバットメントと呼ばれます。アバットメントも多くはチタンですがジルコニアという人工ダイヤモンドの材料にもなる非常に硬い材質のものも使われます。ジルコニアアバットメントは金属色ではなく白いので、歯茎が下がってアバットメントが露出しても目立ちにくいという利点があります。

人工歯の部分は一般の天然歯の上に被せる被せ物(クラウン)と基本的に同様にセラミックを主として用います。ただ、一般のセラミッククラウンが型取りをしたものに合わせて作られるのに対し、アバットメントに装着されるインプラントの部品の一つとなります。

 

インプラントはこのようにいくつかの部分にわかれていて、数百社もあると言われるインプラント部材のメーカー同士の互換性はありません。また、生体との親和性、特に骨組織との一体化(オッセオインテグレーション)が順調に行われるための部材の材質と表面加工などに十分に信頼のおけるメーカーのものの使用が望まれます。

 

 

即時埋入と即時荷重

失った歯を補完するにはインプラントを装着する以外に入れ歯、ブリッジがありますが、咀嚼力や耐久性、装着感などインプラントは多くの面でもっとも優れています。ただ、インプラントは埋入したチタンネジが骨にしっかりと固着するオッセオインテグレーションというプロセスが必要です。

 

 

抜歯後すぐにインプラントを埋入するには適応性が重要

しっかりとしたオッセオインテグレーションを得るためには23ヶ月の期間がかかります。さらに、抜歯を行った時に、チタンネジを埋め込むのは2ヶ月程度は待つべきだというのが従来の考え方でした。インプラント治療の難点の一つは治療期間の長さがあります。

即時埋入(即日インプラントとも言います)とは何らかの理由で抜歯を行った時に、すぐにチタンネジを埋入する治療法です。抜歯とインプラント埋入の期間がなくなるので治療期間は当然短縮されますし、治療回数も減ることになります。

その上、抜歯後に起こる骨吸収を避けることができるために、インプラント埋入でしばしば必要となるGBR(骨造成の)の必要性も小さくなります。

良いことずくめのようですが、即時埋入がいつでも可能というわけではありません。まず、インプラントの埋入が抜歯後すぐに行われるため、抜歯した部分の外科的な回復を考慮に入れたインプラント体(チタンネジ)の埋入が必要です。

さらに感染症のリスクコントロール、抜歯した部位の処置もより慎重に行う必要があります。これらを行うためには抜歯個所が即時埋入に適応していることと高度な治療技術が要求されます。

 

 

抜歯後すぐにインプラント体を埋入する即時埋入と似た言葉に即時荷重があります。即時荷重とはインプラント体を装着してすぐに当日から仮歯で咀嚼できるようにする治療法です。即時荷重でない場合はインプラント体埋入後カ月を置いて上部構造(人工歯)を取り付けて咀嚼が可能になります。

 

即時荷重も即時埋入と同様に咀嚼の負荷を早くかけることにで回復期間を短縮させる効果を得ることができます。しかし、即時荷重も即時埋入と同じようにいくつかの条件を満たす必要があります。

まず重要なのは口腔内ケアがよく行われていることです。さらにインプラント体を埋め込む顎骨の密度が高くなくてはいけません。また、治療技術も即時埋入がそうであったように高いレベルが要求されます。

 

即時埋入も即時荷重も実際的なインプラント施術のオプションとなったのは最近です。数多くの成功例がすでに報告されていますが、インプラント全体に占める施術割合は高くはありません。また、繰り返しになりますが治療技術の高さ、適用条件は一般のインプラントより厳しくなります。

 

しかし、治療期間の長さはインプラントの弱点の一つです。日々進歩するインプラント治療の中で、即時埋入、即時荷重の重要性は高まってきています。

 

オッセオインテグレーションとは

 

オッセオインテグレーションはインプラント治療を開発したスウェーデンのブローネンマルクが1950年代に兎を使った実験で発見し、それを応用したインプラント治療を1960年代に確立しました。

 


インプラント施術で埋め込まれたチタンネジは組織が回復することでしっかりと骨に固定されるのは実はかなり複雑な過程です。骨とチタンネジの間は電子顕微鏡レベルで拡大するとコラーゲンの軟組織が形成されています。さらにチタンネジの表面と骨組織との間には何層かの化学的な結合があります。

 

インプラント施術でチタンネジを埋入した後、オッセオインテグレーションがしっかりとネジを固定するまで時間が必要です。また、オッセオインテグレーションがうまく形成されないとチタンネジが固定されずネジが脱落してしまうことがあります。この場合はインプラントは失敗になってしまいます。

 

オッセオインテグレーションでチタンネジと骨が分子レベルで固着する

インプラントの成功率を高めるためには様々な事に配慮する必要がありますが、チタンネジの表面を電子顕微鏡レベルでどのような状態にすればよいかはオッセオインテグレーションの成否を決める上で非常に重要です。

 

世界には100社とも言われるインプラント製造メーカーがありますが、チタンネジがオッセオインテグレーションに適しているかどうかはチタンネジの品質を左右します。そしてそこには電子顕微鏡レベルの材料技術の違いが関係しています。

 

世界にある100以上のメーカー:インプラントは皆同じではありません

 

 

インプラントには数多くの器具も必要

インプラントはチタンネジの他にアバットメントという連結部を介して人工歯を取り付けられています。そして、そのための器具はインプラントメーカーごとに異なります。

 

インプラントを構成するは基本的なチタンネジ、アバットメント、人工歯という3つのパーツも、インプラントメーカーによって、人工歯根の直径や高さ、材質は違っています。また、チタンネジの表面性状はチタンネジが骨と一体化するオッセオインテグレーションという非常に重要な機能を作用し各メーカーは研究と工夫を重ねています。

 

当院で採用されている「ノーベルバイオケア社」のインプラントシステムは、世界で最初に開発され、安全性や治療効果で高い評価と実績を得ています。ノーベルバイオケアは世界で最もメジャーなインプラントシステムの1つです。

 

 

メーカーの提供するインプラントシステムには、CTのデータを元に、精密なシミュレーションを行うことで安全・確実なインプラントオペが可能にするソフトウェアシステムも含まれます。その結果を基に設計される「サージカルガイド」と呼ばれる装置は、埋入位置や角度、深さまで誘導されることから、手術に伴う偶発症のリスクを大幅に小さくします。

 

実は、世界には100種類以上のインプラントメーカーが存在していると言われています。各メーカーのインプラントシステムは材質や形状が違うだけでなく、インプラント施術に使う器具には一般的に互換性歯なく、メーカーが異なれば使用する危惧も違ってきます。また、支援ソフトウェアの充実度も大きな差があります。

 

インプラントは「人工臓器」の一種としてとらえられることがあるくらい、体にとって重要なものです。それだけに、インプラントシステムの選択は慎重に行うことが必要です。

 

 

ノーベルバイオケア社のシステムによるインプラントのシミュレーション

 

CGF・AFG療法による骨造成への再生医療の応用

 

 

骨造成の再生医療の活用が進んでいるインプラントは歯を失った時、天然歯にもっとも近い咀嚼力を得られる優れた治療法です。しかし、インプラントは骨にチタンネジを埋め込み歯の土台とするために、チタンネジを支えるための土台として骨(歯槽骨)がしっかりしていて一定の厚みがある必要があります。

 

 

ところが歯周病や欠損した歯を長く放置したことなどにより十分な歯槽骨がないことがあります。そのような時、人工的に骨を造成することでインプラントを可能にするGBRという治療法があります。

 

GBR(Groth Bone Regeneration)は骨造成を行うのですが、その際、
・人工骨を使う
・自分の骨を使う
・血小板血漿を使う
といった方法がありました。しかし、これらは骨の形成が安定しない、行われないといったケースや自分の血液の血小板血漿を使用する場合は添加物を添加することで感染リスクがあるといった問題がありました。

 

 

血液から血小板を抽出する遠心分離機

 

これらの欠点を解決し骨造成の成功率や安全性を大きく高めるのが、CGF・AFG療法です。CGF・AFG療法は10cc程度の自己採血を行い、遠心分離機で血小板など成長因子や骨造成を促進する物質を濃縮して骨造成に使用します。この時、添加物は一切加えないため、従来の血小板血漿を使用する方法と違って、感染リスクから逃れることができます。

 

CGF(Concentrated Growth Factors)、AFGAutologous Fibrinogen Glue)は再生医療の一つです。従来の骨造成も、結局は自分の骨を作る能力、歯肉を作る能力を活用はしているのですが、血液成分を濃縮することで、その再生力を高め、安全にしかも高い成功率を得ることができるようになったのです。

 

 

最初に書いたようにインプラントは失った歯の咀嚼力を回復するための優れた治療法です。しかし、すべての人がインプラント治療が受けられるわけではありません。再生治療の活用だけでなくガイドオペそういった多くの治療技術の進歩によりインプラントの世界は大きく広がってきています。

 

オールオンフォー

 

 

すべての歯を失った場合には「総入れ歯」を製作するのが一般的です。総入れ歯は、健康保険で作成することもできますし、比較的短期間で治療を終えることも可能です。ただ、総入れ歯は「取り外し式」であり、口腔粘膜への吸着のみで固定することから、使用感に不満を持たれる方も少なくありません。

 

総入れ歯でも健康保険外ではより強力にマグネットで固定する方式もありますが、インプラントを基本にした「All-on-4(オールオンフォー)」という治療法にも選択肢として挙げられます。

 

 

オールオンフォーとは、4つのインプラントですべての人工歯を支える補綴治療です(上下合わせると8本になります)。上部構造をインプラントに固定するため、ずれたり外れたりするなどのトラブルが起こりにくくなります。人工歯根が存在することで噛み心地も向上し、天然歯に非常に近い咀嚼力を得られます。

 

インプラント周囲炎

 

 

インプラント周囲炎で退縮した歯茎の(説明図)

インプラントで装着した人工歯は虫歯になることはありません。また、根が腫れる根尖性歯周炎になることもありません。しかし、インプラントの歯周病であるインプラント周囲炎になることはあります。そして、インプラントは天然歯よりも歯周疾患を発症しやすい傾向にあります。

 

厳密にいうと、これらの病気は「歯周病」とは少し異なります。ただ、「インプラント周囲粘膜炎」は歯周病における「歯肉炎」、「インプラント周囲炎」は「歯周炎」とほぼ同じものと考えていただいて問題はありません。重要なのは、病気の原因です。

 

天然歯とインプラントを比較すると、「歯根膜の有無」という決定的な違いが浮き彫りになってきます。歯根膜は、歯と歯槽骨との間に存在する組織で、歯にかかる力を緩和するだけではなく、歯肉や歯槽骨へと血液供給も担っているのです。それが欠損したインプラントでは、自ずと歯周組織の免疫力も低下します。

 

歯周疾患は、歯周病菌に感染することで発症する細菌感染症であることから、免疫力の低下はそのまま発症リスクの上昇へとつながるのです。さらに、インプラント周囲病変は通常の歯周病よりも進行が速いことがわかっています。その速度はおよそ1020倍程度といわれています。これもまた免疫力が低下していることに由来しています。

 

それから、インプラントは天然歯よりも歯垢や歯石などが沈着しやすい傾向にあることもまた、インプラント周囲炎などを引き起こしやすい原因といえます。もちろん、インプラントの上部構造は、セラミックなどで製作されていることから、比較的汚れが付きにくい傾向にあるのですが、インプラント周囲粘膜炎が進行し、歯肉の吸収などが目立ってくると、アバットメントやインプラント体そのものが露出します。そこに歯石等が形成されると、除去するのが極めて困難となるのです。

 

 

インプラントは定期的なメンテナンスが大切

 

このように、インプラントは天然歯と比べると歯周疾患にかかりやすく、進行速度も極めて速いことから、適切なケアの継続が必須といえます。インプラント周囲炎を可能な限り防ぐためにはインプラント後の定期的なメンテナンスは非常に大切です。

 

インプラントに向く人、向かない人

 

歯を失うと、それを補うために人工歯が必要となりますが、人工歯は入れ歯、ブリッジ、インプラントの3種類があります。ブリッジとは文字通り失った歯の両側に橋のように連結して失った歯の部分に人工歯を装着する方法です。

 

入れ歯は「年寄りくさい」というイメージを持つ人もいますし、装着すると違和感があったり、噛む力が弱いという点で嫌がられることが多かったので、ブリッジは歯を失った時には治療の第一選択肢でした。しかし、ブリッジは橋渡しをするために両側の歯を削る必要があります。また、両側の歯に負担がかかるという欠点があります。

 

インプラントは咀嚼力、他の歯への負担が小ささなど、天然歯にもっとも近い機能を提供します。また、見た目も他の人工歯と比べて自然です。日本は健康お保険制度が充実しているため、健康保険で治療が可能な入れ歯やブリッジが選ばれることが多いのですが、歯科治療費が高いアメリカではインプラントが歯を失った時には、優先的に選ばれる治療法です。

 

日本でインプラントが選ばれない理由は費用だけではありません。「異物を入れるのは怖い」、「年を取っても大丈夫なのか」、「チタンは金属アレルギーを起こさないのか」、「フッ素入り歯磨きでチタンネジが劣化すると聞いた」などの懸念を持つ人も少なくありません。


しかし、インプラント治療を何か恐ろしいもののように思ってしまうのは、誤解に基づくものが多いのが事実です。インプラントは50年以上前から行われていますし、最初にインプラントを装着した患者はその後40年以上障害に渡ってインプラントを使用し続けました。

 

日本でもインプラント治療を受ける人は毎年100万人以上います。インプラント治療は確立された治療であり、機能的には歯を失った時にはもっとも優れた治療法と言ってよいでしょう。

 

しかし、そのようなインプラント治療を受けることが難しい、あるいは不可能な場合はあります。一つは糖尿病などの代謝疾患や高血圧、や心臓臓疾患を患っている場合です。全身状態に問題があるとインプラント手術のリスクは高くなるため、当院では血液検査を含め提携医院での内科的なチェックをまず行います。骨代謝異常の患者さんの、骨粗鬆症のお薬を服用中の場合はンプラントのお勧めできません。

 

チタンネジを埋め入れる骨の厚みもインプラントの可否を決める重要な要素です。特に歯周病の進行で抜歯にいたったようなケースでは歯周病で歯槽骨(歯の土台となる骨)が十分な厚みを持っていないことも多く見られます。

ただ、骨の厚みが不足している場合も、骨造成で骨の厚みを確保する治療技術が進んでいます。今後、再生医療の進歩で歯肉の不足している状態にもより幅広くインプラントが適用される可能性が期待できます。

 

 

CTによりインプラントの術前のシミュレーションがコンピュータ上で行える


インプラントがこの世に出て50年以上の間に数々の技術的な進歩がありました。その名の一つに歯科用CTCBCT)があります。チタンネジを埋め入れる顎骨には動脈や神経が通っており、それらを傷つけるリスクは小さくありません。

術前にCTで動脈や神経などの存在場所を立体的に映し出すCT、さらにCTで得られたデータを元に最適な埋入方向を決めるコンピューターシミュレーション、ガイドオペといってそのシミュレーションに従って施術を行うサポートツールも実用化されたことで、そのようなリスクはずっと小さくなりました。

 

 

ガイドオペではチタンネジの埋入方向をガイドするツールを装着する


インプラントの障害になる、代謝疾患や骨の厚みに問題が少ないのは、若い人です。若い人がスポーツなどによるケガで歯を失った時、インプラントは最善の選択です。しかし、インプラントの費用が問題になることはあります。

そのような場合でもブリッジで健康な歯を削るより、入れ歯を一時的に入れ、後にインプラントに置き換える方法も検討してよいでしょう。インプラントは優れた治療です。インプラントが可能なら、できるだけインプラントによる治療を行うことを検討すべきでしょう。

 

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